「2001年宇宙の旅」の旅。

 

 これまでに何度も見てきた映画「2001年宇宙の旅」、

 おそらく自己最高の回数です。

 

 そのようなことに至ったのは、あるいは最初に見たのが伝説のテアトル東京で、

 だったからかもしれませぬ。

 この時の上映は「スターウォーズ」などのSF映画ブームに掛けての

 リバイバル上映でしたが、ここだけでシネラマ上映がされている

 のを新聞広告で見たのだと思います。

 

 この地には、少し前までは銀座テアトル西友があり、

 今はまたも更地になってしまった場所に、

 事実上、日本一巨大な映画館があったことは有名です。

 その映画館、テアトル東京は座席が五階あるのみならず、記憶では

 劇場前の広場も、あたかも映画「クレオパトラ」の謁見の広場のように

 広大でした。

 

  当時、祖母と兄とともに、その広場に入り、劇場に向けて歩きながらも、

 その時の足取りではなかなか辿り着かず、行く前に祖母に買って

 もらった「まことちゃん」の人形を小脇にして歩き続けたのを覚えています。

 

 そうして始まった映画「2001年宇宙の旅」。

 「シネラマ」と呼ばれた三台の映写機による横長の巨大なスクリーンは

 確か二階の前の方で見ていても、両端が全く見えない、というくらいの

 広いものでした。

 

 当時、小学五年生の目線なりに、映画の概要を理解したつもりでは

 ありました。

 隣で祖母はほとんど寝ており、おそらく兄は熱心に見ていましたが、

 ほとんどその映画について話すことはありませんでした。

 当時のリバイバル用のプログラムにはちゃんとテアトル東京の文字が

 刻印されていましたが、その物語も読んでいたと思います。

 

 その後、日劇などで見直している内に、しかしその映画の真意は

 だんだんと明らかとなっていきました。

 子供の目線としては、単に理想的な人類の進化を描いているのだろう・・

 との思い込みは歳を経るにつれて汚れて行く目線とともに変わり、

 この作品がそんなに単純なものじゃないことに気づいて行くのでした。

 

 そうして今でも毎年、一度は必ず見直すこの作品は見るたびに

 解釈が少しづつ変わります。未だこの映画を超えるSF映画はない、

 との思いもまた募ります。

 

 多分、テアトル東京に出かけたのはそれ一度きりだったように

 思います。チミノの「天国の門」がロードショーとしては最後の作品

 だったのではないかと思いますが、その最後にふさわしい作品だった

 と思います。