鶴見文化という場所 その1

 

  家の近所には鶴見文化という昔ながらの名画座がありました。

 調べて見たところ、2001年まで経営を続けられていたということです。

 今でも京浜急行の京浜鶴見駅に連なる、鶴見銀座という

 商店街がありますが、その裏道にあった座席数300強くらいの映画館です。

 

 ここへ初めて行ったのは、小学校でのなぞなぞが

 きっかけでした。

 当時、雑誌の付録にも出ていたクイズ、おばあちゃんが食べる

 プリンはなんでしょう?という友達からの問いがわからず、

 その答えをチャップリン。と聞いたものの、

 そもそも「チャップリン」が何なのか分からなかったのです。

 

 偶然にも、ちょうどその数日後、友達の一人から、チャップリンの映画が

 近くの映画館にやってくる、との話を聞いて、

 次の日曜日、朝から友達数人で見に行きました。

 

 その映画は「チャップリンのキッド」だったのですが、

 三本立てが通例のこの映画館では、一緒に「シンドバッド7回目の冒険」

 (今では「7回目の航海」と呼ばれていますが、リバイバル時は

 「・・・の冒険」だったのです)と

 「タワーリング・インフェルノ」を上映していました。

 今思えば、まさに映画入門とも言うべき贅沢なプログラムです。

 

 「キッド」の面白さはもとより、当時「スターウォーズ」も

 公開していなかったその時代、ハリーハウゼンの動かす

 怪物とシンドバッドたちの戦いに驚き興奮、

 「タワーリング・インフェルノ」の火災に巻き込まれた高層ビル

 からの脱出ドラマに感動させられました。

 

 付け加えますと、この作品の主演である、スティーブ・マックイーン

 ポール・ニューマンの顔をしばらくの間は取り違えていたままでした・・

 と言いますのも、当時最も人気のあったマックイーンは

 ニューマンよりもハンサムに違いない、と思っていたからでした・・。

 

 「キッド」には本当に笑い転げました。文字どおり、あまりに笑いすぎて

 映画館の椅子からずり落ちてほとんど床に座っていたほどです。

 斜め前にいたおじさん驚いたような顔をしてこちらを

 振り返っていた、その表情もよく覚えています・・

 ちょうどそれは、キッドが石を振り回してガラスを割り、

 後からチャップリンが新しい窓を売りに来る場面でした。

 キッドが唾を手につけて、石を振り回す様がともかくおかしかったのですが、

 今思えば、何がそこまでおかしかったのだろう、と思います・・

 

 しかしこれによってチャップリンの映画を未だ愛し続ける

 そのきっかけになったのは間違いありません。

 

 そして、鶴見文化は毎月一度、友達たちと通うべき

 遊び場となったのでした。