「杉野兵曹長の妻/世紀の合唱 愛國行進曲」

 

 

 

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国立映画アーカイヴで上映された

二本の作品。

 

 少年たちが川辺でおもちゃの軍艦を

 浮かべて遊ぶ中、

 軍人の夫を失った母親が

 工場で働きながら子供達の軍人となる姿を

 願い、

 大きな蝶々リボンをした娘が橋を歩き、

 少年が軍学校にやがて進学する、その様を

 浪曲と共に非常に美しい撮影で描いた

 1938年の大都映画「杉野兵曹長の妻」、

 

 

 巷の音楽に耳をすませ、

 ジャズを嫌い、ベートーヴェンの楽想を

 辿り、

 教え子たちの演奏の上達を、

 大本営とともに聞こえる君が代を、

 街中で中国戦線勝利に熱狂する太鼓と歓声を、

 ひたすら作曲家が「聞き続け」、やがてその全てを

 愛国行進曲が包み込んでいく様を描く

 1940年の東宝映画「世紀の合唱 愛國行進曲」。

 

 この時代の音楽映画の「実験」とすら見える

 その身振りに、密かに映画の作り手たちの心意気が

 裏肌に感じられました。