「杉野兵曹長の妻/世紀の合唱 愛國行進曲」
国立映画アーカイヴで上映された
二本の作品。
少年たちが川辺でおもちゃの軍艦を
浮かべて遊ぶ中、
軍人の夫を失った母親が
工場で働きながら子供達の軍人となる姿を
願い、
大きな蝶々リボンをした娘が橋を歩き、
少年が軍学校にやがて進学する、その様を
浪曲と共に非常に美しい撮影で描いた
巷の音楽に耳をすませ、
ジャズを嫌い、ベートーヴェンの楽想を
辿り、
教え子たちの演奏の上達を、
街中で中国戦線勝利に熱狂する太鼓と歓声を、
ひたすら作曲家が「聞き続け」、やがてその全てを
愛国行進曲が包み込んでいく様を描く
1940年の東宝映画「世紀の合唱 愛國行進曲」。
この時代の音楽映画の「実験」とすら見える
その身振りに、密かに映画の作り手たちの心意気が
裏肌に感じられました。