つれづれぐさ

 

 

 

 

飛鳥川の淵瀬常ならぬ世にしあれば  時移り事去り

楽しび悲しび行きかひて

はなやかなりしあたりも人住まぬ野らとなり

変らぬ住家は人あらたまりぬ

 

桃李ものと言はねば

誰とともにか昔を語らん

 

まして、見ぬいにしへのやんごとなかりけん跡のみぞ

いとはかなき

 

 

京極殿 法成寺など見るこそ

志留まり事変じにけるさまは  あはれなれ

 

御堂殿の作りみがかせ給ひて、庄園おほく寄せられ

我が御族のみ

御門の御後見

世の固めにて  行末までとおぼしおきし時

いかならん世にも  かばかりあせ果てんとはおぼしてんや