「金色夜叉」1934年、1937年
国立映画アーカイヴで上映されました、
1934年と1937年にそれぞれ作られた
二つの「金色夜叉」、
その一つ目、赤澤プロ作品は
日本の風物、お宮が打つ羽子板
から始まっていました。
突然表される、
貫一とお宮の静止像と見えたものが
カメラを前にした二人であることに
気づかされると、それは写真に映され、
その像はそのままお宮の面影として
月や海のイメージとともに、また浪曲とともに
貫一の記憶と重なり合います。
新派劇のようなそれは
後半、貫一の友人の独壇場ともなりながら、
浪曲が貫一、お宮の心を写し取り、
熱海その他の風景を美しく描きました。
他方の、
1937年の松竹版、
清水宏監督によって、
高利貸を演じる
映画が活気づけられるモダンの有様が
むしろ「細雪」を思わせました。