『彼岸花』撮影風景 ・「 彼岸花 (デジタル復元版・修復デモ付)」
フィルムらしく、劣化した像の中に垣間見える、
カメラから思いの外隔てられた室内セットは、
俳優たちが枠の向こうに明るく照らされつつ
暮らしているようにも
映ります。
「山本富士子さんを使うことでもあり
何か派手な喜劇にしようと思って作った」と語る
小津監督によって、
幻のように緊張感のある撮影所と和やかにカメラに
顔を向ける映画人の様子がぶれるカメラに覗かれました。
そうして撮影された本編が映し出されると、
小津映画がいかにスクリーンを囲う暗闇を
必要としているのかをも
痛感させられました。