そんなことはもう忘れたよ 鈴木清順閑話集 八幡 薫, 本多 晃子

 

 

 

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「神山が金魚を見ている。

 金魚屋のオヤジが顔を出す」

 

 そのように始まる

 鈴木清順が「遺作」として自ら書いた「蜜のあはれ」

 のシナリオが巻末に掲載されています。

 

 「キャスティングなんかも口にして、それだけ構想も膨らんで

 やる気になっていたのに、やめるなんて冗談だろうと

 思いましたね」

 

 あるトークショーでの突然の引退宣言について、

 助監督だった

 葛生雅美氏がそう回想される記事、

 

 あちこちに散りばめられた

 鈴木清順の晩年の素顔の写真、

 

 後に津波で失われた三陸の風景を歩いた記憶、

 初恋、

 

 知られざる生い立ちが

 晩年のインタビューによって綴られ、

 

 その合間には米寿祝の風景、

 その他、

 

 ・・この本が、鈴木清順映画のごとくに

 一筋縄ではいかない構成で編まれているので、

 一通り読むだけでは勿体なく、

 

 繰り返し本の中を行きつ戻りつ

 彷徨わせられます。

 

 

 上山「君は人間に化けられないか」

 少女「毎日化けてるじゃないの、

   これ以上化けようがないじゃないの」

 

 

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