「Огонёк Natasha」網代幸介
「この小さな本はナターシャという1人の女性が残したものである」
リトルプレスを主宰していた
サムという人物の残された日記の中に
登場するナターリアと呼ばれていたかもしれない女性が
自ら描いたというその一生の絵の記録。
「しかし確証は何もない」姿としての本。
アガニョークと題された10センチ縦幅にも満たない
その小さな本の中に、二百ページを超える記録が
埋め込まれています。
網代幸介氏の記したその本には、無数の絵の
中にも、ナターシャが
愛したというローランサンから
トウォンブリの絵の痕跡まで伺えます。
「数百年のち、誰かの心に彼女の物語が生きていることを
願って」、
一生を表した本は、生のエニグマそのものを
内に孕みつつ
数々の、また多様な絵が編まれ、
実際に
何度も繰り返し眺め続けてしまいます。